今回はこんなお悩みにお答えします。
記事の信頼性
中小企業診断士として独立し、中小企業の経営支援をしています。
補助金コンサルの経験は10年になります。
これまでの採択件数は80件以上、採択率は「80%~90%」です。
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Twitter(@KeisukeMatsumo7)
どんな人たちが補助金コンサルティングをしているのか
一言で補助金といっても目的によって大きく性格が異なりますが、多くの中小企業がもっとも利用するのが、
- ①設備投資や販売促進費を補助する補助金(ものづくり補助金など)
- ②雇用安定のために人件費を補助する補助金(雇用調整助成金など)
- ③省エネなどCO2排出量の抑制に寄与する設備投資を補助する補助金(エネ合など)
①の支援は、事業計画策定を得意とする中小企業診断士が行うことが多いです。
②の支援は、雇用を専門分野にする社会保険労務士が多いです。
③の支援は、エネルギー計算の専門知識を持つエネルギー管理士が多いです。
なので、ものづくり補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金といった①の補助金コンサルタントには、中小企業診断士の資格を持っているコンサルタントが多いです。ただし、「中小企業診断士=事業計画をうまく書ける」ではないし、「中小企業診断士でない人≠事業計画を書けない」ではないことに注意が必要です。
コンサルタントを使うメリットとデメリット
コンサルタントにお願いするほうがいいかどうかは、あたりまえですが事業者によります。
まず、コンサルタントにサポートをお願いした場合のメリットとデメリットを整理します。
メリット
プロのコンサルタントにお願いするメリットは3つです。
- 情報が得られる
- ノウハウが得られる
- 時間を買える
順番に解説します。
情報が得られる
プロのコンサルタントであれば多くの情報を持っています。
- 狙っている補助金の対象になりそうかどうか
- 採択の見込みがありそうかどうか
- 他におすすめの補助金はないか
- 申請するためにどんな準備が必要なのか
といった情報を教えてもらうことができます。
ノウハウが得られる
またプロのコンサルタントであれば採択のポイントを把握しています。
- どんな事業計画であれば採択されやすいのか
- 事業計画書にはどんなことをPRすればいいのか
といったことを教えてもらうことができます。
その他、補助金申請のための事業計画を作る過程で、自社の将来への見通しに対してアタマが整理され、会社の方向性を定まったり、新たな経営課題が見つかるというメリットもあります。
時間を買える
プロのコンサルタントは資料作成に慣れています。長くてわかりにくい文章をひと目でわかるように図や表で説明することもできます。
- 市場動向を調べる
- 申請書を書く
事業計画書を書くために数十時間を費やす方が多いです。プロにお願いすることで、その分、本業に集中することができます。
デメリット
デメリットについて説明します。
- 費用がかかる
費用がかかる
当たり前ですがプロにサポートをお願いする以上は費用が発生します。
料金設定は、
- 着手金10万円~20万円
- 成功報酬として補助金の10~20パーセント
- 成功報酬に上限額、下限額を設定
で設定しているケースが多いように思います。
補助金額が高くなるほど、10%から9%、8%、7%という具合に報酬割合を下げているコンサルタントもいるようです。
例えば、補助金額1,000万円で成功報酬10%の場合、報酬額は100万円になります。
これを
1,000万円を補助してもらえるなら100万円の報酬なら、まあそんなもんだろう。
と考えるか、
アドバイス料と書類を書くだけで100万円!?とんでもない!
と考えるかは人それぞれ(どちらも間違ってない)と思います。
支援内容
ざっくりいうと、
- 助言型:事業者が書いた申請書に対して助言をしてくれる
- 代行型:事業者から構想をヒアリングした内容に基づいて申請書を書いてくれる
この2つです。
コンサルタントと契約する場合は、助言だけなのか、代行してくれるのかを事前に確認しましょう。
助言型はかなりハード。だけど事業を見直すいい機会になる。
自分で事業計画書を書くのはとても大変です。人によりますが数十時間はかかると思っておいたほうがいいです。
他人の会社の事業計画を書くより自分の会社の事業計画を書く方が大変。
なぜなら、自分で書くと
- 自社の強みを弱みなど、現状を客観的に分析しにくい
- 将来のビジョンに願望が入ってしまい現実感に乏しくなりがち
- そのため、事業計画を書きながら、ずっと葛藤してしまう。
ということが起きるから。
口で説明するのは簡単なことでも文章で説明するのは大変。
書くことに慣れていないと、
- うまく考えがまとまらない
- 言いたいことをうまく表現できない
ということが起きます。
せっかく苦労して書きあげた第一稿もコンサルタントからダメ出しの指摘をもらうことになり、また何度も書き直すことになります。
ですが、何度も書いたり消したりしながら、考えを言葉にすることで、頭が少しずつ整理され、
- 現状の何をどう変えていくべきなのか
- 今後どんなことに優先して取り組むべきなのか
といった将来の見通しづけができるようになります。これが助言型の支援を受ける最大の価値だと私は思います。
代行型は楽チン。だけどコンサルタントの腕に左右される。
事業計画書作成を代行してくれる場合、口頭によるヒアリング、あるいはヒアリングシートで質問されたことに答えるだけで、あとはコンサルタントがうまく申請書にまとめてくれます。
ぶっちゃけ自分で書くよりはるかに楽チンです。
当たり前ですが、コンサルタントも人間。スキルは人それぞれです。助言型の場合にも言えることですがコンサルタントの当たりはずれがあります。
とくに代行型は助言型より当たりはずれが大きくなります。なぜなら、
他人が書いたものを指摘するより、自分で書くほうが何倍も難しいから
です。
あと事業計画書の作成を第三者にお願いする場合、助言型のように補助金申請を通じて事業を見直す機会にはなりにくく、採択されるための計画書になりがちです。
【気になること】コンサルタントにお願いすれば必ず採択されるのか?
答えは「NO」です。ただし、採択率の可能性は高くなるとは思います。一概に言えませんが、全体の採択率より10~30%ほど高くなるイメージです。
事業計画書の良し悪しは「料理」と似ている
料理の良し悪しを決めるのは、
- 素材
- レシピ
- 調理技術
です。
補助金の事業計画書もこれに似ています。
- 素材:企業の現状の姿
- レシピ:事業計画
- 調理技術:資料作成技術
ちなみに素材というのは、
- ノウハウがあるか
- 補助事業を実施できるだけの資金があるか
- 補助事業を実施できるだけの人を確保できているか
- その商品・サービスにニーズは感じられるか
などです。素材の部分は変えられません。
コンサルタントのサポートできるのは、レシピと調理技術の部分です。
なので、二期連続赤字で、大幅債務超過で、従業員がいなくて、今までやったことのない(ノウハウや経験が活かせない)ようなことに取り組もうとしている場合(つまり素材が悪い)、いくらコンサルタントが支援しても採択される可能性は低いと思います(支援を断るコンサルタントも多いはず)。
【結論】補助金申請をコンサルタントにサポートしてもらうべきか
結論は、「事業者による」です。
- 過去に何度も同レベルの補助金に採択されたことがあるので自信がある
- コンサルタント費用が高額で納得できない
という方はサポートを受けなくてもいいでしょう。
でも、やっぱり自分が書いた事業計画書を誰かに見てもらって客観的な意見が欲しいという方は、商工会議所などの公的機関で専門家の無料相談を活用するのも手です。
それ以外の方は、何らかの形でプロのコンサルタントのサポートを受けたほうがいいと思います。
助言型か代行型か
共通するのは、
- 事業計画に対するプロのアドバイスが欲しい
- 採択のポイントを押えたアドバイスが欲しい
ということ。
助言型と代行型のどちら良いのかも、やはり「事業者による」です。
助言型に向いている方
- 事業計画は自分で考えたい
- Wordで文書作成くらいはできる
代行型に向いている方
- 事業計画書を書く時間がない
- 口で説明できても文章で説明できる自信がまったくない
【おまけ】コンサルタント選びのポイント
事業者とコンサルタントが知り合うきっかけは「紹介」が圧倒的に多いようです。
よく聞くのは、
- 公的機関や銀行
- 設備メーカーの営業担当者
- 税理士事務所
- 知り合いの経営者
など。
通常は、信頼している人から紹介されたコンサルタントにお願いするということが多いでしょう。
その他には、ネットでホームページを確認し、良さそうなコンサルタントに問い合わせしてみるという方法があります。
コンサルタント選びのポイント
結論は、「信頼できそうか」に尽きます。
これだけだとよくわからないので補足します。
- 採択実績は豊富か(10件以上あるか)
- ちゃんとこちらの話を聞いてくれるか
- 契約条件(費用やサポートの範囲)は明確か
- 疑問・質問にちゃんと答えてくれるか(あやふやだったり、ごまかしは感じられないか)
補助金専門のコンサルタント会社の場合はここに注意
ここ数年、補助金コンサルタント会社が増えています。こうしたコンサルタント会社の中には、補助金申請の依頼を広く集めて、申請業務はパートナーコンサルタントに外注というケースが少なくありません。
- 担当のコンサルタントが優秀かどうかはわからない
- 中間マージンが発生するので費用が高くなりがち
- 採択されると成功事例として申請書が他のパートナーコンサルタントに流出する恐れがある
おわりに
当たり前ですが、「補助金コンサルタントのサポートが必要か」という問いは「事業者による」です。
なので、その判断材料についてここまで紹介してきました。補助金コンサルタント選びの参考にしてもらえたら幸いです。
補助金申請支援がきっかけで知り合ったコンサルタントとの関係が補助金申請だけにとどまらず、その後の経営相談の相手として長い付き合いに発展することもあります。
この記事を読んだ読者の皆さんが、良いコンサルタントに出会えることを願っています。