6月12日に小規模事業者(従業員20人以下)向けの雇用調整助成金が改正されました。
今回は、改6月12日版の雇用調整助成金について、簡単にまとめてみたいと思います。
重要
この記事はこんな方におすすめです
- 小規模事業者の方
- 新型コロナ感染症の影響で従業員を休ませた方
- 雇用調整助成金の申請を検討している方
- 雇用助成金の概要を知りたい方
制度概要
助成率・助成上限額
令和2年1月24日 ~ 今回申請する月の給与締切日の間に
解雇を実施しなかった場合 → 100%
解雇を実施した場合 → 従業員に支払った休業手当の80%
助成上限額 15,000円/人・日
助成対象者
下記の全ての要件を満たす事業者が助成対象となります。
- 従業員数が20人以下であること
- その他、募集要項に記載の要件を満たしていること
助成対象期間
従業員を休ませた1か月間
※複数月にまたがるときは1か月毎に申請する必要があります。
助成対象要件
下記の全ての要件を満たす方が助成対象となります。
- 新型コロナウイルス感染症の影響で、前年同月比で5%以上売上(または生産量)が減少していること
- 1か月間で従業員2人あたり1日以上休ませ、かつ休業手当を支給していること
- 休ませた従業員は有給休暇扱いでないこと
- その他、募集要項に記載の要件を満たしていること
申請期限・申請方法
支給対象期間の初日が1月24日~5月31日の休業申請期限は8月31日まで
支給対象期間の初日が6月1日以降の休業申請期限は支給対象期間の末日の2カ月以内
申請方法は、次のいずれかの方法で管轄の労働局またはハローワークへ提出します。
- オンライン申請
- 必要書類を郵送で提出(事業所を管轄する労働局またはハローワーク)
- 必要書類を窓口へ持参(事業所を管轄する労働局またはハローワーク)
※郵送の場合は、配達記録の残る方法で郵送すること
参考 郵送先
必要書類
- 新様式特小第1号(支給申請書)(別紙も含む)
- 新様式特小第2号(実績一覧表)
- 新様式特小第3号(確認申立書)
- 売上が前年同月比で5%以上減少したことがわかる書類(売上簿、レジの月次集計、収入簿など) ※前年度と今年度の2か年分 ※初回申請時のみ
- 休業させた日や時間がわかる書類(タイムカード、出勤簿、シフト表など)
- 休業手当や賃金の額がわかる書類(給与明細の写しや控え、賃金台帳など)
- (事業主以外に役員等がいる場合)役員名簿(性別・生年月日が入っているもの)
- 通帳またはキャッシュカードのコピー ※初回申請時のみ
- その他、必要に応じて提出を求められた資料
事前準備
支給申請マニュアルを入手
まずは下記ホームページにアクセスして、支給申請マニュアルを入手しましょう。
これが支給申請マニュアルの表紙です。
提出資料の作成
休業実績を確認
まず最初に行う作業は休業実績の確認です。使用する書類は、様式新特小第2号(新型コロナウイルス感染症関係)です。
(※Excelシート名は、新特小第2号(実績一覧表)です)
①申請対象期間
支給申請は1か月単位で行います。通常は給与の締め日に合わせて行います。20日締めであれば、令和2年4月21日~令和2年5月20日という感じになります。
②従業員数
雇用保険に加入している従業員数を入力します。
ポイント
2カ月を超えて使用される者が対象です。ただし、2カ月を超えていなくても雇用期間の定めのない者および2カ月を超える雇用期間の定めのある者を含みます。
③休業手当支払い率
休業した従業員に対して、給与総額の何パーセントを支払ったかです。
1日あたりの賃金が10,000円の従業員が会社を休んだとき、月給から10,000円を休業控除として差し引きます。これに対して休業手当として7,000円を支払った場合、休業手当支払い率は70%となります。
会社を休ませたけど、給料を満額支払ったという場合は100%となります。ただし、有給休暇として休ませた場合は休業扱いとはなりません(有給休暇は従業員の権利であり、会社要請で取得するものではないので)
ポイント
従業員によって休業手当支払い率が違う場合は、次の3通りの考え方で計算して、一番高い支払い率を選択できます。
支払い率が60%の従業員が5人、80%の従業員が2人、100%の従業員が3人の場合
- 最も多い従業員に適用している支払い率を採用:60%
- 全員の支払い率を単純平均:(60+80+100)÷3種類=80%
- 全員の支払い率を加重平均:(60×5+80×2+100×3)÷10人=76%
④1日の所定労働時間
これは会社で決めている1日の所定労働時間です(就業規則や雇用契約書、労働条件通知書などに記載されている労働時間を使います)。
9時出社の17時退社(昼休憩12時~12時45分)という会社の場合ですと、労働時間は7時間15分ですので、7.25時間と入力します。
ポイント
労働者ごとに所定労働時間が違う場合は、最も多い労働者に適用している所定労働時間を記入します。
⑤従業員氏名
休業した従業員の氏名を入力します。
⑥雇用保険被保険者番号
⑤の社員の雇用保険被保険者証に記載されていますので、番号を転記しましょう。
⑦休業日数
⑤の社員が会社を丸一日休んだ日数です(①の対象期間内の合計時間)。なお、有給休暇で休んだ日はカウントしません。
⑧休業時間
⑤の社員が午前だけ働いて午後は半休となったとか、定時退社時間より2時間早く退社したなど、時間単位で休業した時間の合計です(①の対象期間内の合計時間)
端数も含めてよいので、2時間30分早く退社した日が3日間あった場合は、7.5を入力します。
⑨休業手当
⑤の社員に支給した休業手当の合計金額を入力します(①の対象期間内の合計金額)。
注意ポイント
⑤⑦⑧については、タイムカード・出勤簿・シフト表など添付資料と整合性が取れているか確認しておきましょう。
助成率の確認
6月12日版から廃止されたようです。
支給申請書を作成する
まず次に行う作業は支給申請書の作成です。使用する書類は、様式新特小第1号(新型コロナウイルス感染症関係)です。
(※Excelシート名は、新特小第1号(支給申請書)です)
5月19日版のフォームと特に変わりないようです。
会社の情報や助成金を振り込んでもらう振込先口座を入力します。
売上高の計算
売上高が前年同月比で5%以上減少した月があるかどうかです。ここでは「はい」を選択します。ないと助成対象外となります。
ポイント
売上高が減少したことの証拠書類として、同月で前年度と今年度の2か月分の月次の売上高を示す資料(例えば、2019年4月と2020年4月の売上簿)などを提出書類として添付する必要があります。
売上高が5%以上減少している月を選択してください。
休業の有無
従業員2人あたりで1日以上の休業を行ったかどうかという質問です。
○ 従業員1人が1日休業
× 従業員1人が0.5日休業
○ 従業員2人が0.5日休業
助成額の計算
助成額はExcelに設定された数式で自動計算してくれますので、特に入力不要です。助成金額がいくらになるのか確認しておきましょう。
支給要件確認申立書
雇用調整助成金を受けるにあたり、基本的な要件を満たしていることを確認します。要件といっても、過去に不正受給をしたことがあるかどうかとか、暴力団関係者でないかどうかとか、そういう内容です。
様式特小第3号(新型コロナウイルス感染症関係)という書類を使います。
出典:様式特小第3号(新型コロナウイルス感染症関係)より
①はい、いいえの選択
問題なければ「はい」を選択します。
②日付
申請する日付を入力しましょう。
③法人番号
自社の法人番号を入力します。
④役員情報
代表取締役以外に役員がいない場合は、「性別」「生年月日」を記入します。代表取締役以外にも役員がいる場合は、別途「性別」「生年月日」を記した役員名簿を提出する必要がありますので、ここでの入力は不要です。
添付資料について
ここまでに作成してきた提出資料以外に以下の書類を添付資料として提出します。
- 休業した月と1年前の同じ月の売上などがわかる書類(売上簿、レジの月次集計、収入簿など)
- 休業させた日や時間がわかる書類(タイムカード、出勤簿、シフト表など)
- 休業手当や賃金の額がわかる書類(給与明細の写しや控え、賃金台帳など)
- (役員等がいる場合)役員名簿(性別・生年月日が入っているもの)
※ 事業主本人以外に役員がいない場合及び個人事業主の場合は、提出不要です。
提出先について
オンライン申請の場合
オンライン申請が楽なのでオススメです。
※トラブルのため、6月18日現在、まだアクセスできないようです。
郵送の場合
さいごに
いかがでしょうか。
助成率の確認がなくなった分、5月19日版と比べて、さらに簡単になったようです。
これなら、社労士さんにお願いしなくても自分で申請手続きできそうですね。
本記事が雇用調整助成金の申請手続きの参考になったら幸いです。