こんにちは。
ものづくり補助金(令和元年度補正5次締切時点)には2つの申請枠があります。
- 一般型
- グローバル展開型
グローバル展開型は、補助上限額が3,000万円と大きいのがメリットですが、対象要件が一般型に比べて厳しくなっています。
そこで、今回の記事では一般型とグローバル展開型の違いについて解説していきます。
重要
本記事は、12月18日に開示された公募要項の内容に基づいて執筆していますが、今後、公募要項に変更が生じる可能性があります。そのため、公式サイトで最新情報を確認していただくようお願いします。
記事の信頼性
中小企業診断士として補助金獲得のコンサル歴は12年。
これまでの採択件数は80件以上、採択率は「80%~90%」です(過去の採択実績)
一般型とグローバル展開型の違い
一般型
- 補助上限額:1,000万円
- 補助率:中小企業1/2、小規模企業2/3
- 補助対象期間:交付決定から10か月以内(または採択決定から12か月以内)
グローバル展開型
- 補助上限額 3,000万円
- 補助率 中小企業1/2、小規模企業2/3
- 補助対象期間:交付決定から12か月以内(または採択決定から14か月以内)
グローバル展開型の要件
類型1:海外直接投資
- 海外支店または海外子会社(出資比率1/2以上)があること
- 補助対象経費の2分の1以上が、「海外支店の補助対象経費」または「海外子会社への外注費、海外子会社に貸与するための機械装置・システム構築費」を補助対象費として計上すること
- 国内でも50万円以上の設備投資を補助対象費として計上すること
中堅企業向き。海外工場の設備投資に対する補助を想定しているものと思われます。
中国や東南アジアに海外工場をもつ中小企業は少なくないですが、中国の場合は出資比率に注意しましょう。
類型2:海外市場開拓
- 販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
- 具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書を提出すること。
国内での設備投資で、販売先は海外ですから、製造業の輸出を想定しているものと思われます。
同様の支援を行う補助金として「JAPANブランド育成支援事業」があります。
輸出するものが部品などではなく最終製品であればJAPANブランドがおすすめです。
類型3:インバウンド市場開拓
- 販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
- 具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書を提出すること。
訪日外国人が対象なので、こちらは小売業またはサービス業を想定しているものと思われます。
同様の支援を行う補助金として「JAPANブランド育成支援事業」があります。
こちらも同様に商品やサービス内容によってはJAPANブランドがおすすめです。
類型4:海外事業者との共同事業
- 外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等であり、その成果物の権利(の一部)が補助事業者に帰属すること(外国法人の経費は、補助対象外)
- 共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)を提出すること。
オフショア開発を想定しているものと思われます。
「外国法人との共同研究・業務提携」とされていますが、日本にある外国法人も対象になるのかどうか定かではありません。
グローバル展開型は一般型と比べると申請のハードルは高そうですね。
調査報告書について
調査報告書に関する補足説明がFAQに記載されていました。
要点をまとめると、
- 市場調査報告書の記載項目は特に指定されていない
- 類型2で例示されているのは、販売を想定している国、製品等の市場環境・競争環境、製品等の顧客ニーズ、販売戦略等
- 類型3で例示されているのは、販売を想定しているサービス等の市場環境・競争環境、顧客ニーズ、販売戦略等
- 調査報告書は自社で作成しても外部の調査会社などに委託して作成しても良い
- 実績報告時には性能評価報告書(類型2)、プロトタイプの仮説検証の報告書(類型3)が別途必要になります。
その他留意点
- 海外渡航費が補助対象(ただし総事業費の1/5までが対象)
- 海外の子会社に設備を貸与できる(一般型の場合NG)
- 海外の子会社に外注委託することができる(一般型の場合)
- 機械装置・システム構築費以外の補助上限額は1,000万円まで(一般型の場合500万円)
注意
海外への渡航が必要になる事業の場合、せっかく採択されても新型コロナの影響で海外渡航できず、補助事業がまったく進捗しないリスクがあります。
審査の観点
一般型の審査項目に加え、グローバル展開型では以下の観点からも審査されます。
- 地域内での革新性だけではなく、国際競争力を有しているか
- 海外展開に必要な実施体制や計画が明記されているか
- 事前の十分な市場調査分析を行っているか
- 事業の成果・波及効果が国内に環流することが見込まれるか
最後に
やはり、一般型に比べるとハードルは高そうです。
申請書全体から、グローバル展開に資する事業であることが伝わってくる内容である必要がありそうです。
私も一社ご縁を頂いていますが、一般型でよく見る事業内容と比べて迫力が違います。