【7次公募】事業再構築補助金の審査項目について【解説します】

こんにちは。

補助金獲得のコンサル歴は12年。

これまでの採択件数は120件以上、採択率は「80%~90%」です。

 

これまで蓄積してきたノウハウの集大成として、事業再構築補助金の事業計画書の書き方をまとめています。

 

この記事で学べること

採択される事業計画書のポイントを挙げるとしたら、

  • 審査項目に当てはまる
  • わかりやすい
  • 商品が売れそう
  • 熱意が伝わってくる

になります。これらの点をおさえておけば、採択される可能性は飛躍的にあがります。

 

本記事では、審査項目に当てはまる事業計画書を書くために審査項目について解説しています。

そして、この記事を何度も読み返すことで

  • 審査項目に書かれている内容が理解できる
  • 何を重視して、何を捨てるかの作成方針を立てられる
  • 申請すべき加点項目がわかる

ようになります。

 

注意事項

解説内容は私のコンサルティング経験に基づくものです。

  • 審査項目を自分なりに解釈して、審査項目に沿った計画書を作る
  • 採択されたら自分の解釈が正しかったものとする
  • 採択されなかったら、審査員のコメントを確認して、自分の考え方・書き方がおかしくなかったか振り返る

ということを100案件以上繰り返してノウハウを積み上げてきました。このノウハウをベースに自分なりに審査項目を解説しています。

したがって、実際の審査で審査員が見ている観点と異なる可能性があります。というか、必ずどこか違っていると思います。

 

それを理解したうえで、参考にしてもらえたら嬉しいです。

 

審査項目の全体像

審査項目は公募要領の中に明示されています。

  • (1)補助対象事業としての適格性
  • (2)事業化点
  • (3)再構築点
  • (4)政策点
  • (5)グリーン成長点(グリーン成長枠に限る)
  • (6)加点項目
  • (7)減点項目

たくさんあって大変ですが、順番に見ていきます。

 

(1)補助対象事業としての適格性

「4.補助対象事業の要件」を満たすか。補助事業終了後3~5年計画で「付加価値額」年率平均3.0%((【グリーン成長枠】については 5.0%))以上の増加等を達成する取組みであるか。

 

補助対象要件とは、公募要領に示された各事業類型の要件を満たしているかどうかです。

  • 通常枠
  • 大規模賃金引上枠
  • 回復・再生応援枠
  • 最低賃金枠
  • グリーン成長枠
  • 緊急対策枠

 

それぞれの事業類型によって必要となる要件が異なりますが、例えば通常枠の場合、

  • 事業再構築要件
  • 売上高減少要件
  • 認定支援機関要件
  • 付加価値額要件

という4つの要件があります。

 

このうち、「売上高減少要件」「認定支援機関要件」「付加価値額要件」について電子申請への入力内容や添付ファイルで評価できますが、「事業再構築要件」を満たしているかどうかについては、事業計画書の内容で評価されます。

 

(2)事業化点

  • ① 本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。
  • ② 事業化に向けて、競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か市場ニーズの有無を検証できているか。
  • ③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か。
  • ④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。

事業計画書の評価対象となります。審査項目で示されたキーワードを計画書の中に盛り込む必要があります。

 

事業実施のための体制が構築されているか【実現性】

ちゃんと事業を立ち上げられる体制を考えられているかどうかを評価します。実施体制がしっかり構築されていない場合は、補助事業が頓挫する可能性が高く、実現性に乏しいと判断されます。

 

最近の財務状況はどうか【実現性】

補助事業の実施期間中または完了後すぐに経営破綻しないかどうかを評価します。せっかく採択されても、経営破綻されると補助事業が頓挫することになり、実現性に乏しいと判断されます。

 

資金調達の見通しはるか【実現性】

補助金は後払いです。したがって、総事業費をいったん全額立て替える必要があります。事業資金を用意できない場合は、補助事業が頓挫する可能性が高く、実現性に乏しいと判断されます。

 

競合他社の動向を把握しているか【市場性】【競争優位性】

参入する市場がブルーオーシャン(競争相手が少ない)なのか、レッドオーシャン(競争相手が多い)なのかを評価します。一般的にはブルーオーシャンが良いとされています。

 

市場ニーズを考慮しているか【市場性】 

新商品・新サービスが、市場ニーズに対応したものであるかどうかを評価します。市場ニーズに合ってない商品・サービスは売れないので市場性がないと判断されます。

 

ユーザー、マーケット及び市場規模が明確か【市場性】

新商品・新サービスをどのような顧客層に対して売ろうとしているのか。ターゲット顧客はどの程度存在するのかを評価します。ターゲットが不明確な商品・サービスは売れないし、ターゲット顧客が明確であっても市場規模が小さすぎる場合は大きな売上は見込めないので、市場性に乏しいと判断されます。

 

市場ニーズの有無を検証できているか【市場性】

いくら「こういう客層にはこういうニーズがある」と主張しても、それは単なる思い込みかもしれません。通常、新規事業を立ち上げる前に、テスト販売やアンケート調査などを通じて、顧客ニーズに関する自分たちの仮説が間違っていないか検証します。こうした市場ニーズの有無をしっかり検証しているのかを評価します。

 

優位性があるか【競争優位性】

競合他社と比べて競争優位性があるか否かを評価されます。差別化されたセールスポイントがない商品・サービスは埋没することになり淘汰されてしまうと判断されます。

 

収益性を有しているか【収益性】

補助事業に取り組むことで儲かるのかどうかを評価されます。儲からないビジネスは収益性に乏しいと判断されます。

 

事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か【実現性】 

着手から立上げ完了までにやるべきことが明確になっているか、スケジュールが明確かを評価されます。何をどういう順番で、いつまでにやるのかが明確になっていない場合、補助事業が頓挫する可能性が高く、実現性に乏しいと判断されます。

 

補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か【実現性】

新しいビジネスを立ち上げる場合、何らかの問題が発生するのが当然です。どのへんに問題がありそうか、その問題を解決するためにどうすればいいのかを認識できているかどうかを評価されます。課題と解決方法が想定できていない事業計画は途中で頓挫する可能性が高く、実現性に乏しいと判断されます。

 

費用対効果は高いか【収益性】

補助金の費用対効果を評価されます。同じ補助金額を投入するなら、100万円の利益を生み出す事業と1,000万円の利益を生み出す事業であれば1,000万円の利益を生み出す事業のほうが費用対効果が高いと言えます。

 

現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用しているか【実現性】

補助事業で取組む新規事業が自社の強みを活かしているか否かを評価されます。新規事業に活かせる人材やノウハウがあるなら、それを活かせるようなビジネスのほうが有利です。新規事業をスムーズに立ち上げることができますし、立ち上げ後にビジネスが成功する可能性も高いと言えます。

 

既存事業とのシナジー効果が期待できるか【収益性】

既存事業と新規事業の間にシナジー効果があるかどうかを評価されます。「シナジー効果=相乗効果」です。例えば、新規事業で獲得したお客様を既存事業に誘導することで既存事業の売上アップが期待できます。また新規事業と既存事業で共用できる設備や人材があれば生産性は高くなります。

 

(3)再構築点

  • 事業再構築指針に沿った取組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか。
  • ② 既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスや足許の原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか。
  • 市場ニーズ自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせリソースの最適化を図る取組であるか。
  • 先端的なデジタル技術の活用新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業か。
  • ⑤ 本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか。

 

再構築指針に沿った取組みであるか【適合性】

事業再構築指針との適合性を評価されます。

 

思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか【適合性】

既存事業からの変化の大きさを評価されます。事業領域の考え方として、

  • 誰に
  • 何を
  • どのように

提供するビジネスなのかという考え方がありますが、「誰に、何を、どのように」の全てが変える場合と、どれか1つだけを変える場合では全社のほうが変化が大きい、つまり思い切った大胆な事業の再構築を行うと考えられます。

 

既存事業における売上の減少が著しいか【必要性】

コロナ前とコロナ後の売上を比較して売上の減少率が大きいほど高く評価されます。より大きな被害を受けた会社のほうが事業再構築の必要性や緊要性が高いと判断されます。

 

補助対象事業の要件に「売上等減少要件」があります。

2020 年 4 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること等

個人的な解釈になりますが、この「売上高等減少要件」に該当するか否かではなく、年単位で売上の減少が大きいかと考えるほうが自然です。

そう解釈する理由は、「売上等減少要件」は、実際に年間売上高が減ってなくとも、売上計上月がずれただけで要件を満たすことができるためです、

 

新型コロナウイルスや足許の原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響で深刻な被害が生じているか【必要性】

新型コロナウイルスや足許の原油価格・物価高騰と、売上減少(または利益減少)に因果関係があるか否かを評価します。これらと因果関係が見られない場合は、事業再構築補助金の趣旨に沿わないと判断されます。

 

市場ニーズや自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせた取組みであるか【適合性】

中小企業はヒト・モノ・カネの経営資源に乏しく、経営資源を分散させてアレコレ手を出すのではなく、成功確率の高いビジネスに経営資源を集中させるべきであると一般的に考えられています。

そして、そのビジネスを選択する基準は、

  • 市場ニーズがあること
  • 自社の強みを活かせること

であるべきとされています。

 

つまり、この審査項目では、

  • ビジネスを適切に選択し、そのビジネスに経営資源を集中させているか
  • そのビジネスを選択するにあたり、市場ニーズや自社の強みを選択基準にしているか

を評価しています。

 

リソースの最適化を図る取組みであるか【適合性】

「リソース=ヒト・モノ・カネなどの経営資源」です。

  • 今まで有効活用できていなかった経営資源
  • 「選択と集中」により撤退したビジネスで余剰となった経営資源

を新規事業にうまく再利用・転用する取組みであるかどうかを評価しています。

例えば、

  • 使っていない土地・建物・設備の再利用
  • 儲かっていないビジネスから撤退し、撤退したビジネスの従業員を新規事業に再配置

などが見られれば高く評価されます。

 

(4)政策点

① ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか

② 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて、我が国の経済成長を牽引し得るか。

③ 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えて V 字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。

ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか

地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、雇用の創出や地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか。

異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。

 

政策点とは、国が目指す方向性と合致するかどうかを評価する項目です。ものづくり補助金などでも同様の政策点が設けられています。かなり要求レベルが高く、ほとんどの申請企業が該当しないと思います。

政策点を意識したほうが良い企業は、

  • 中堅企業
  • 最先端技術を開発する中堅企業・中小企業
  • ニッチな分野でグローバルシェアを獲得できている企業
  • 地域で非常に顔が広く、数多くの行政機関、金融機関、民間企業を動かすことができる、または働きかけることができる企業

です。その他の一般的な中小企業は政策点を意識しなくても良いと考えています。

 

(5)グリーン成長点

(研究開発・技術開発、人材育成共通)

① 事業再構築の内容が、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取組となっているか。

 

(研究開発・技術開発計画書を提出した場合)

② 研究開発・技術開発の内容が、新規性、独創性、革新性を有するものであるか。

③ 研究開発・技術開発の目標が、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題に基づき適切に設定されており、目標達成のための課題が明確で、その解決方法が具体的に示されているか。

④ 研究開発・技術開発の成果が、他の技術や産業へ波及的に影響を及ぼすものであるか。

 

(人材育成計画書を提出した場合)

② グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する事業再構築を行うために必要性の高い人材育成を行う計画となっているか。

目標となる育成像到達レベルの評価方法などを含め、具体的かつ実現可能性の高い計画が策定されており、また、人材育成管理者により、その進捗を適切に把握できるものとなっているか。

④ 人材育成を通じて、被育成者が高度なスキルを身につけることができるものとなっているか。また、身に着けたスキルを活用して、企業の成長に貢献できるか。

 

謝罪

ここに関しては、7次公募から新しく登場した審査項目であり、正直いって私も適切な解説をできる自信がありませんので、詳細を語るのは控えます。

ただ、1つ言えることは、事業計画書の中に上記のアンダーラインを引いた箇所が読み取れるようにする必要があることは確かです。

 

(6)加点項目

  • ①大きく売上が減少しており業況が厳しい事業者に対する加点
  • ②最低賃金枠申請事業者に対する加点
  • ③経済産業省が行う EBPM の取組への協力に対する加点
  • ④パートナーシップ構築宣言を行っている事業者に対する加点
  • ⑤事業再生を行う者(以下「再生事業者」という。)に対する加点
  • ⑥特定事業者であり、中小企業者でない者に対する加点
  • ⑦サプライチェーン加点
  • ⑧足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けている事業者に対する加点

 

結論は、該当する項目があれば全て加点申請するです。

 

必ず加点申請するべき項目

  • ③経済産業省が行う EBPM の取組への協力に対する加点
  • ④パートナーシップ構築宣言を行っている事業者に対する加点

誰でも申請できるので、必ず申請しておくべきです。

 

パートナーシップ構築宣言は締切ギリギリでは間に合わない

パートナーシップ構築宣言を行うには、 「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにアクセスして、エントリー手続きをとる必要があります。パートナーシップ構築宣言にエントリーしてから、反映されるまで日を要するので、応募締切日ギリギリに「パートナーシップ構築宣言」にエントリーしても加点対象とならない可能性があるので、日程に余裕を持ってエントリーしてください。

 

加点対象になるかどうかチェックするべき項目

  • ①大きく売上が減少しており業況が厳しい事業者に対する加点
  • ⑧足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けている事業者に対する加点

月次売上の推移または付加価値額の推移を確認して、該当するようであれば必ず加点申請しておきましょう。

 

(7)減点項目等

  • グリーン成長枠
  • 複数の事業者が連携して事業に取り組む場合

 

謝罪

ここに関しては、7次公募から新しく登場した審査項目であり、正直いって私も適切な解説をできる自信がありませんので、詳細を語るのは控えます。

 

終わりに

事業再構築補助金に応募するほとんどの会社は、通常枠で応募する中小企業だと思います。通常枠で応募する中小企業が事業計画書を書くために重視すべき審査項目は、

  • (1)補助対象事業としての適格性
  • (2)事業化点(4項目)
  • (3)再構築点(5項目)

です。まずはここに注力しましょう。

 

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