経営計画書の書き方
「1.企業概要」について
ポイントは、
申請企業がどんな会社(お店)なのか、審査員の方がイメージできるように書くこと
です。
言葉だけでなく、写真もしっかり使いましょう。
よくある業種ごとに記載のポイントを以下に紹介しておきます。
(飲食店の場合)
- どんな業態なのか
- どんな料理・飲料を提供しているのか
- お店のコンセプトは
- いつお店を始めたのか?(オープンしてから何年くらい経つのか)
- どこにあるお店なのか?(立地)
- お店のスタッフは何人なのか(厨房は?接客は?)
- 客層、客数、客単価はどうなのか
- 売れ筋のメニューはなにか?そのうち利幅の大きいメニューは何か?
- 営業時間は?
欲しい写真:店舗外観、店舗内観、料理数点
(リラクゼーションサロンの場合)
- どんな業態なのか
- どんな施術を提供しているのか
- お店のコンセプトは
- いつお店を始めたのか?(オープンしてから何年くらい経つのか)
- どこにあるお店なのか?(立地)
- お店のスタッフは何人なのか
- 客層、客数、客単価はどうなのか
- 売れ筋の施術メニューはなにか?そのうち利幅の大きい施術メニューは何か?
- 営業時間は?
欲しい写真:店舗外観、店舗内観、施術風景数点
(小売店の場合)
- どんな業態なのか
- どんな商品を販売しているのか(一般商品なのか、オリジナル商品なのか)
- お店のコンセプトは
- いつお店を始めたのか?(オープンしてから何年くらい経つのか)
- どこにあるお店なのか?(立地、ネット販売など)
- お店のスタッフは何人なのか
- 客層、客数、客単価はどうなのか
- 売れ筋の商品はなにか?そのうち利幅の大きい商品は何か?
- 営業時間は?
欲しい写真:店舗外観、店舗内観、商品数点
アピールしたいことを書いたほうがいいのか?
この後に「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を書く欄があるのですが、「企業概要」のほうで書いたほうが自然な説明になるのであれば全然アリだと考えています。その場合、「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」のほうでは、「企業概要」で書いたアピール内容をもっと突っ込んで書いてもいいし、「企業概要」で書いたアピール内容とはまた違った観点で強みを書けばいいです。
最近の経営状況について書いたほうがいいのか?
過去数年の経営状況に関して説明するように求められてはいませんが、審査員が会社のイメージをつかむのに有益な私はできるだけ書くようにしています。
申請企業が上り調子なのかどうかということも、会社のイメージを掴むのに有益な情報です。
記入例
〇年前に大手企業の〇〇社との取引が始まったのをきっかけに売上拡大傾向が続いている
近年、業績不振、後継者不在を理由に倒産、廃業する取引先が相次いたこともあり、10年前と比べて売上は7割程度にまで減少している
近年、〇〇地域では都市開発が進み、若い世帯が数多く流入しているため、当社もその恩恵を受けて売上は増加傾向である
「2.顧客ニーズと市場の動向」について
次の記入項目は、顧客ニーズや市場の動向です。
記載事項
顧客ニーズや市場の動向で記載するのは、次の3つです。
- 主要顧客について
- 顧客ニーズについて
- 市場動向について
主要顧客
「こういうお客さんに一番買ってほしい」というターゲット層について説明します。
どんなお客さんをターゲットにしているのか、読み手がイメージできるようになるべく具体的に書いた方がよいです。例えば「主要顧客は女性です」だけでは、若いのか高齢者なのか、独身なのか主婦なのかママなのか、働いているのかいないのかなど、どんな女性を想定しているのか釈然としません。
法人の場合も同じです。法人と一言で言っても業界、業種、規模など千差万別です。
注意
顧客ニーズ
ターゲットとなる顧客層にどのようなニーズがあるのかを記載します。ニーズにも2種類あって、お客様の声として「〇〇して欲しい」という欲求が顕在化しているものを「ウォンツ」ということもあります。
特にそういう要望が聞こえてこないけれど、あったら喜ばれる(お客様が潜在的に必要としている)ようなものを「潜在ニーズ」ということもあります。
「ウォンツ」や「潜在ニーズ」は、美味しい料理が食べたいとか早く対応して欲しいといったプラスの欲求だけでなく、タバコの臭いがして嫌だとか、買ってすぐに壊れてしまわないか心配だといった不満・不安なども含まれます。
市場動向
ここに記載する内容は、世の中全体の動きや傾向について考察するマクロ的な分析と、近隣の購買層や普段お店に来ているお客さんの声について考察するミクロ的な分析の二通りの書き方があり、悩ましいところです。
マクロ的な分析は、公的機関がまとめたレポート・報告書がインターネット上で公開されているので、これを情報源にするのが簡単です。「市場規模がこんな感じで大きくなってますよ」とか「購買層にはこういう行動特性がありますよ」ということが客観的にまとめられいますので、グラフやアンケート結果などを引用することが多いです。マクロ的な分析は、業界全体を俯瞰できるのがメリットです。その反面、現場感に乏しい、情報を入手しやすい業界と入手しにくい業界があるといったデメリットもあります。
いっぽう、ミクロ的な分析は、お客さんの声、従業員の気づき、近所に大きな商業施設ができたといった動きが情報源になります。現場感があり、その地域ならではの、その店ならではの分析が可能です。
マクロとミクロどちらを使うのが良いかというと・・・正解はありません。
業種・業態、これからどんなことに取り組むのかによって変わってくるからです。
あえていうと、私の場合は、ミクロ的な分析は必ず書くけれど、マクロ的な分析はケースバイケースという感じです。現場で見た・聞いた現象が世の中全体のトレンドだという裏付けにしたいときにマクロ的な分析資料を付け加えるようにしています。つまり、ミクロ的な分析とマクロ的な分析に「意味づけ」が大切だと考えています。
(飲食店を営む方が飲食店の市場動向について分析する場合)
良い例
ここ数年、若者世代を中心にお酒を飲む習慣がない人が増えており、当店においても最初の一杯だけお酒を頼み、2杯目以降はソフトドリンクという方や、最初からソフトドリンクという方が増えている。
来店客のお酒の注文数が減っている背景として、当店のお客さんもお酒を飲む量が減っている分析を行っています(ミクロ的な分析)。その背景として、社会全体で若者世代を中心に飲酒習慣率が低下しているという調査結果があるということを根拠して示しています(マクロ的な分析)
悪い例
近年、外食産業の市場規模は増加傾向にあり、当店の売上も増えている。
お店の売上の増減と外食産業全体の市場規模を比べても、いまいちピンときません。何を分析しているのかよくわからない分析となっています。
次のページでは、自社や自社の提供する商品・サービスの強みの欄について解説します。