こんにちは。
ものづくり補助金の申請書(事業計画書)の書き方を解説しています。
事業計画書を書くときは、先に見出しから書くことをすすめています。
見出しの作り方については別の記事で詳しく解説しています。
今回は申請書の書きだし「当社について」について解説します。
中小企業診断士として独立し、
初めて支援した補助金申請は、ある業界向けに特化したLED照明の開発でした。
補助金コンサルの経験は10年になります。
これまでの採択件数は80件以上、採択率は「80%~90%」です(過去の採択実績はこちら)
Twitter(@KeisukeMatsumo7)
ものづくり補助金の公募要領、事前準備、申請書の書き方などについて、まとめ記事を書いています。
あなたの会社は「どこの馬の骨かもわからない」存在です。
ものづくり補助金には「自社のことをしっかり分析しているか」という審査項目はありません。
なので、正直いって「当社について」がなくても直接審査には影響しません。
ですが、私はいつも「当社について」を書くようにしています。
審査項目にないのになぜ書くのか
答えは、「第一印象をよくしたいから」です。
通常、審査員は申請書を読んではじめてあなたの会社の存在を知ります。
つまり、あなたの会社は「どこの馬の骨かもわからない」存在です。
なので、はじめに審査員との信頼関係を作る必要があります。
- なかなか面白い会社だな
- 厳しい業界で頑張ってきたんだな
- 真面目で信頼できそうな会社だな
- この会社なら、ちゃんとやってくれそうだな
要するに「第一印象を良くすることで、好意的な気持ちで取組内容を読み始めてほしいから」というのが狙いです。
自画自賛のオンパレードは逆効果
かといって、自画自賛のオンパレードは読む側は逆にウンザリするかもです。
大切なのは、「どんな会社が申請しているのかをイメージしてもらうこと」です。
なので、自画自賛ではなく企業プロフィール像を明確にすることに努めましょう。
プロフィール像が見えない申請書の特徴
結論は「自社に関する情報が質も量も足りていない」だと思っています。
- その①:企業プロフィールが適当
- その②:強みが不明確
大きく分けると、上記の2つです。
順番に解説します。
その①:企業プロフィールが適当
ありがちなのが、以下のような書き方で自社紹介を終えるパターンです。
- 事例①:当社は〇〇市で法人向けにカタログやポスターなどの印刷物を納入する印刷業です。
- 事例②:当社は射出成型でプラスチック用品を製造するプラスチック加工業です。
基本的に業種と商品の説明だけで終わるケースが多いです。
私は事業計画書を読む側だったこともあるので、読み手の「気持ち」が分かります。
読み手の気持ち「この会社はどんな会社なのかな」
審査員は、書類だけを読んであなたの会社がどんな会社なのかをイメージしなければなりません。
申請書の導入部に企業プロフィールがしっかり書くことで、あなたの会社の姿がはっきりと目に浮かび、興味を持ってもらうことが大切です。
その②:強みが不明確
割とよく見かけるのが「当社の強みはフットワークの良さ」というパターンです。
厳しい言い方になりますが、正直いって「フットワークがいい…それで?」という感じです。
強みの明確化は、間違いなく必須です。
例えばですが、以下のイメージ。
- 当社の強みは発注元の急な予定変更にも対応できるフットワークの良さです。
- お客様の困りごとに対し、即座に解決策を提案するフットワークの軽さが当社のセールスポイントです。
要は「お客様にどんなうれしさを届けられるの?」です。
自社紹介の書き方:どこまで詳しく書けばいいのか?
結論は、「自社紹介の情報だけであなたの会社が特定されるレベル」です。
もう少し詳しく説明します。
例えば、上記の事例①でいうと、
「〇〇市で法人向けにカタログやポスターなどの印刷物を納入する印刷業者」というのはたぶん他にもたくさん存在すると思います。
当社は、年商〇億円、従業員数〇名、〇〇市で主に自動車販売会社、化粧品会社向けにカタログやポスターなどの印刷物を納入する印刷会社です。創業当初は製版業として事業をスタートしましたが、オフセット印刷機を導入してオフセット印刷を手掛けるようになり、その後、折り機、箔押し機など後加工の設備を導入してきました。現在は「お客様の困りごとに最高の提案を」をモットーに製版~印刷~後加工まで社内で完結する一貫生産体制を構築しています。品質・コスト・納期の管理を社内で完結することができますので、お客様のご要望にも柔軟に対応できるなどフットワークの良さがお客様からの高い評価につながっています。
これくらいの情報量になると、かなり特定されるレベルだと思います。
どんな会社なのか目に浮かぶ。自社紹介のネタ
自社紹介のネタを紹介します。
ぜんぶ網羅する必要はなく、あなたの会社のことを知らない人が読んで、あなたの会社がどんな会社なのか何となくイメージできるレベル感でOKです。
とはいっても、自分でそのレベル感をつかむのは難しいので、誰かに確認してもらうことをおすすめします。
会社の歴史や価値観
意外とこの辺の情報も大切だったりします。
何を大切にしている会社なのかということが審査員に伝わります。
- 創業の経緯
- 沿革
- 経営理念
現在の姿
「電子申請システムに直近2年の売上高や従業員数を入力するのになんで?」と思うかもですが、
私はいつも書くようにしています。その方が読み手に親切だから。
- 売上規模
- 従業員規模
事業内容
あなたの会社がメインで行っているビジネスの内容です。
複数のビジネスを手掛けている場合は、「一番売上の大きなビジネス」と「補助事業に関係するビジネス」の2つを紹介すればOKだと思います。
- 業種
- 主要顧客
- 商品・サービス
- 商品・サービスの提供方法
要は「誰に、何を、どのように」して商品やサービスを提供しているのかです。
自社の強み
繰り返しますが、強みを考えるときは、
「お客様にどのようなうれしさを届けられるか」
ということにつながるものを挙げるようにしましょう。
- ブランド力
- 品質
- コスト競争力
- 納期対応力
- 企画力
- 提案力
たぶん、強みのネタは他にもあると思います。「自社ならではの強み」を考えてください。
これだけで伝わります。
文章でうまく伝わらないことも写真なら伝わることって少なくないですよね。
特に工場の中の様子、特殊な製品といった一般人があまり目にしないものは写真で説明したほうがいいです。
- 社屋、工場、店舗の外観や内観の写真
- 商品・サービスの写真
- 社長や従業員の写真
自社紹介に割く文字数
いざ書くとなると「自社紹介にどのくらいのボリュームを割けばいいのか」ということが気になりますね。
正解があるわけではないのですが、
私の場合は、文字数500~700字、写真4~5枚くらいを目安にしています。
ページ数でいうと1ページ前後です。
正直いってボリュームのことをそこまでシビアに気にしていませんが、自社紹介が2ページ続くと、ちょっと長いなという印象です。
ちょっとわかりにくいかもですが、以下のような感じでまとめています。
あくまで参考例のひとつとして。
以上です。